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原位置試験


スクリューウェイト貫入試験〔SWS試験〕(JIS A 1221:2020)

原位置における土の硬軟や締まり具合及び土層の構成を判定するための静的貫入抵抗を求める試験方法です。戸建住宅など小規模構造物の地盤調査方法としてもっとも普及しています。

この試験装置及び試験方法は元々スウェーデンで開発されたものであるため,我が国では導入元である国名を考慮して旧規格までは"スウェーデン式サウンディング試験方法"という名称としていました。しかし,対応国際規格ではスウェーデンという国名が付けられていないこと,並びに我が国では試験装置及び試験方法が独自に発展し,対応国際規格とは異なるものとなっていることから,規格名称を"スクリューウエイト貫入試験方法"と変更されました。


<試験装置>

SWS試験装置は、スクリューポイント、ロッド、おもり、回転装置、引抜装置から構成され、手動式と機械式があります。

SWS試験装置図

<試験手順>

  1. 専用ロッドの先端に円錘形をねじった矢尻のようなスクリューポイントを取り付け、それを地面に鉛直に立てます。
  2. ロッドには、自由に上下させたたり途中で固定もできる受け皿(クランプ/0.05kN)を通し、さらに上端にハンドルを取り付けます。
  3. クランプに円板形のおもり(0.1kNのおもり2枚と0.25kNのおもり3)1枚ずつ静かに載せていき、1枚載せるたびに、ロッドが沈み込むかどうかを観察し、記録します。
    (注) 掛ける荷重は段階的に0.05・0.15・0.25・0.5・0.75・1.00kNとなります。
  4. 全てのおもりを載せるとクランプの重さと合計して1.00kNになりますが、その際、ロッドの沈み込みがなく静止している場合には、ハンドルを回転させ、先端のスリューポイントで土を掘進しながら強制的にロッドを貫入させ、25cm貫入させるのにハンドルを何回転させたかを記録します。
    (注1) ロッドの長さは1mなので、貫入させるに従い、おもりの受け皿となるクランプが地面に着いてしまい、それ以上、貫入させることができなくなります。そこで、おもりとハンドルを一旦はずし、新たにロッドを継ぎ足した後、ハンドルを装着し直した上でクランプを所定の高さまで引き上げて、再度3と4の作業を繰り返します。
    (注2) ハンドルの回転数は、180度(半回転)を1回とカウントします。すなわち、360度回せば2回となるので、記録は「半回転数」という表記になります。
  5.  規定の深度(後述)までの貫入が記録できた時点で測定を終了し、ロッドを引抜きます。
  6. ロッドを引く抜いた後の直径が3㎝ほどの測定孔を利用し、コンベックスで孔内の水位を計測・記録します。孔が土で目詰まりしている時には「測定孔崩壊のため水位不明」と記録します。

    <試験の終了>

    1. 深度が10mに達した時点。
    2. 地中に締まった地層が分布し、貫入量0.05m(5cm)当たりの半回転数が50回以上となる場合、又は25cm当たりの半回転数が50回以上を1m確認した場合。
    3. 地中障害物(大きな石など)に当たり、その上で空転する場合。
    4. 各測点間の試験結果に著しい差異が認められた場合や、地中障害物等に当たり、満足した測定結果が得られない場合には、位置を変えて追加測定を行います。

      <試験結果>

      1. SWS試験とN値との関係は、「換算N値」として下記の式が用いられています。
        【礫・砂・砂質土】 N=2Wsw+0.067Nsw
        【粘土・粘性土】 N=3Wsw+0.050Nsw
        ここに、Wsw :1kN(1000N)以下で貫入した場合の荷重
        Nsw :上記の荷重で貫入が停止した後、回転により貫入させた時の貫入量1m当たりの半回転数(回/m)
      2. 一軸圧縮強さquとの関係q
        u =45Wsw+0.75Nsw   ここに、qu :一軸圧縮強さ(kN/m2

      3. 地盤の長期許容応力度(支持力)qaの算定 (国土交通省大臣告示 第1113号)
        a =30+0.6Nsw   ここに、Nsw :基礎底面下2mまでの平均値(kN/m2


        土質の判定

        1.地形図(土地条件図等)によって、おおよその土質の判別が可能なので、事前に参照します。

        2.SWS試験で土質を判別するには、十分な地中の土を採取することができません。厳密には、様々な観点から土の成分や性質を分析し、建物を支える地盤として強さを総合評価すべきですが、本試験では、互いに性質が大きく異なる「粘性土」・「砂質土」・「礫質土」に土質を大別します。

        3.「砂質土」・「礫質土」の場合は、ハンドルを回転させながらロッドを貫入させるとハンドルを介して「シャリシャリ」や「ジャリジャリ」という感触や音が伝わってくることがあり、土質を分類する際の有力な手掛かりとなります。

        4.地表付近で瓦礫混じり(人為的地中障害物)の盛土が施されている場合は、機材が瓦礫層を通過 する際の摩擦抵抗によって測定値が大きく記録されるため、そのままの値を採用して土質の判別や地耐力を推定することができません。したがって、瓦礫層を通過する際に観察される「ガリガリ」という感触と音を記録して瓦礫の有無を判別します。


        標準貫入試験(JIS A 1219)

        標準貫入試験の目的は、N値を測定し地層の判別や土の硬軟の判定に利用します。


        <試験手順>

        1.所定の試験深度まで試験孔をボーリングします(一般的に1.0m毎)。

        2.試験孔底を乱さないよう注意しながら、孔底のスライムを除去します。

        3.ボーリングロッドの先端に専用のサンプラーを取り付け、サンプラーを孔底へ下します。(貫入量を記録)

        4.打撃装置を取り付けます。

        5.予備打ちとして、63.5kgのハンマーを76cmの高さから自由落下させ、サンプラーを試験孔底から15cm貫入させます。

        6.予備打ち後、再度63.5kgのハンマーを76cmの高さから自由落下させ、サンプラーを貫入させ、30cmの貫入に必要な打撃回数(N値)を記録します。

        7.所定の試験深度になるように掘削し、1~6を繰り返します。


        <注意点>

        1.岩盤のように打撃を繰り返しても貫入しない地盤があり、累計貫入量が1cmに満たない場合は「貫入不能」と記録します。

        2.逆に、サンプラーの重み(打撃無しで)だけで、300mm貫入する地盤もあり、これはN値「0(ぜろ)」となり「自沈する地盤」といいます。

        3.JIS A 1219 では最大打撃回数を50回としていますが、道路基礎工等ではN=50前後が設計定数として必要になるため、最大打撃回数を60回とする場合もあります。


        平板載荷試験

        平板載荷試験は、地盤が支えることができる力の大きさ、いわゆる支持力を調査します。基礎を設置する深さまで掘削を行い、基礎に見立てた直径30cmの載荷板を置いて、実際の建物の重量に見合う荷重をかけて沈下量を測定し、地盤が安全に支持する力を判定する試験です。平板載荷試験は、基礎を設置する深さまで掘削を行い、基礎に見立てた小さな鋼板(載荷板:直径30cmの円盤)を置いて実際の建物の重量に見合う荷重をかけて沈下量を測定し、地盤が安全に支持する力を判定する試験です。

        平板載荷試験概略図

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